
革作りの匠「タンナー」
タンナーという職業をご存知だろうか。「皮から革を作る」、それがこのタンナーの仕事である。皮とは、毛のついた状態の動物の生の表皮。そしてその皮が腐ったり固くなったりしないようなめしたものが革と呼ばれるのだ。有史前、最も初期に人類が手に入れたマテリアルであるこの皮をなめす技は、世界各地の人類が何万年もかけて編み出した技術の結晶。その技術を駆使して、個体差が大きく出来上がりが計算できないこの自然素材をできるだけ高い品質に加工していくのがタンナーの腕の見せ所である。タンナー毎に秘伝の技術やノウハウがあるといわれ、どのタンナーを選ぶかが、出来上がる製品の性質を左右するといっても過言ではない。さらに、数百年以上にも及ぶ伝統を持つフランスやイタリアの名門タンナーでは、原料となる皮からこだわって高い評価を得ている。
メイドイン・ジャパンの革を世界に
「親戚がランドセルの製作に関わっていた環境もあってか、気付いたら革好きになっていたんです。そして、革を扱う問屋としてフランスやイギリス、イタリアなどを訪れるようになりました。さまざまな国を巡るうちに気が付いたのですが、国によって国民性が異なります。当然、職人の気質にも差があるのですが、個人的には日本がいちばんだと感じました。向上心がありますし、何よりも "ものづくり日本"ですからね」
ブルックリンの創業者である草ヶ谷和久さんが目指すのは、繊細で誠実な日本の職人による手作りの革。100年以上続くヨーロッパのメーカーとは歴史の長さで比較されれば勝てない。だが、伝統を凌駕するクオリティで勝負を挑んだ。
専用に育てられた和牛の皮を時間をかけて丁寧に加工。さらに、染料を皮に染み込ませては天日干しをするという過程を何度も繰り返し、芯までしっかりと染料を染み込ませたオリジナルレザーの「ヤマト」では、あらゆる工程を日本の卓越した職人が手掛け、世界に誇れるクオリティを実現した。
さらに、青と紫が調和した色味に仕上がる"藍染め"や、防水・防虫・防腐などの作用がある"柿渋染め"といった日本古来の伝統加工を試み、全く新しい製品をラインナップしている。
使い続けることがエコになる
モノが氾濫している時代の中で「本当に良いもの」を常に追い求めてきたブルックリン。その製品はどれも見た目の良さだけではなく使い易さにも重点が置かれ、長年愛用できるよう細部まで丹念に仕上げられている。
革の端には"切り目"仕上げを採用。革小物に多く見られる"へり返し"と呼ばれる手法は、端の部分を糊付けして巻き込み、軽く叩いて形を整えるというもの。それに対し"切り目"は、より多くの手間が掛かる。革をきちんと裁断し、コバ(革の断裁面)に数種類の磨きを掛けて整え、染料などを染み込ませてさらに丁寧に磨き上げる。職人の技術力や時間が必要な手法だが、その分だけ丈夫に仕上がるという。
モノの出し入れで痛みやすいライニング(内張り)には、良質の革を使用して耐久性を配慮。各部の仕立てへのこだわりには、できるだけ長く使って欲しいという作り手側の思いが込められている。
「例えステッチが解れたとしても縫い直せばさらに長く使うことができますので、うちでは修理も承っています。もはや使い捨ての時代は終わりを告げました。限りある資源だからこそ、良いモノを永く愛用することがエコにもつながると思います。着物なども打ち返して3~4世代は使っていた訳ですから、日本にはもともとそういう文化が根付いていたはずなんですけどね」
独自の色方程式で生み出される鮮やかなアイテムたち
「持ち物ひとつでも人はウキウキするもの。ですから、カラーにもこだわっています。そもそも、どうして良いものにこだわるかと言えば、手に取った人に感動してほしいからなんです。裏地の色を変えるのもそう。また、黒や茶といった定番カラーは避けています。よそにお任せすれば良いので(笑)。持ち物の色には人間性が表れると言われますよね。初対面の相手でも、取り出した名刺入れが赤かったら、好きな色はもちろん、性格も何となく推測できるような気がしませんか。もちろんインパクトもありますし、会話のきっかけにもなります。そうやって、楽しんでほしいのです。」
高品質なフレンチカーフを使ったカラフルなアイテムは、ブルックリンの代名詞。全てのアイテムについて10色以上のラインナップを揃える豊富なカラーバリエーションは、独自に生み出された20種類にも及ぶ"色の方程式"に基づいて作られているという。
さらに、表の革と色を変えることで鮮やかさを強調したステッチもまた、ブルックリンのカラーとクオリティへのこだわり。糸が目立たない同色ステッチとは違って誤魔化しがきかないため、生半可な縫製技術では粗が目立ってしまう。ひとつひとつが均一で真っ直ぐに整列した縫い目。ここにも本物を追求する自負が表れている。
日々を彩る、遊び心あふれる小物たち
ブルックリンでは、従来からのバッグ、財布、名刺入れといったアイテムに加え、最近では多様なゴルフ用ツールに始まり、フリスクケースやポストイットケース、USBメモリーやオールレザーのオセロといったホビーシリーズも充実させているという。
「意外なものが革で出来ているだけで楽しくなりますよね。楽しさを無駄と考えるのではなく、遊びととらえられる気持ちの余裕が、こだわりのある大人には必要なのではないかと思います。」
さらに手にした時のぬくもりある質感は、革という素材ならでは。丁寧に仕立て上げられた上質なアイテムは、見る人に鮮やかな印象を、使う人には温かな心地よさをもたらす。洗練されたデザイン、使い易さ、カラフルな配色が生み出す驚きと新鮮さで、人々に心地よさと楽しさをもたらす小物たち。そこには、日本の職人による細部までのこだわりと遊びの精神があふれている。
ブルックリン
1979年に創業。"本当に良いもの"を目指したものづくりが高い評価を獲得し、2002年からはオリジナルアイテムの海外展開を開始する。同年春には青山に旗艦店をオープン。さらに秋には、イタリアのミラノで開催されるバッグ・革小物の展示会"MIPEL"に日本唯一の出展者として参加。広く世界でその名を知られるようになった。現在でも、こだわりある洒落者のファンが多い。
営業時間:11:00~20:00
休日:不定休
住所:東京都港区南青山3-8-37第二宮忠ビル1F
TEL:O3-5414-3357
掲載日:2009/12/28
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