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Le Style PEUGEOT

Vol.3 美味しいコーヒーを、究める。

17世紀、トルコ風のエキゾチックな飲み物として、
パリにもたらされたというコーヒー。
フルーツのような酸味をもち、ほろ苦く、
甘い香りを放つ異国の飲み物は、
パリに誕生したあるカフェの繁盛をきっかけとして、
フランスで親しまれるようになったといいます。
いまや世界じゅうの人々を魅了してやまないコーヒー。
奥深い美味しさを秘める、
最高の1杯を追求してみませんか。

300年以上前のフランスで
花開いたカフェ文化

魅惑的な甘い香りをもち、世界の人々に愛されているコーヒー。その味わいがフランスで親しまれるようになったのは、17世紀後半のこと。当時、まだトルコの珍しい飲み物というイメージだったコーヒーは、プロコピオ・ディ・コルテッリというギャルソンが、パリの公衆浴場を改築して「カフェ・プロコープ」を創業したことによって広まったという。

鏡や大理石を大胆に利用した優雅で格調高いカフェはまたたくまに評判となり、コーヒーは一躍、フランスで愛される文化のひとつになっていった。18世紀後半には、すでにパリには1800軒を数えるカフェが並び、人々はコーヒーを片手に気持ちよく会話をしたり、政治や芸術にまつわる議論を戦わせたり、チェスをしたり、新聞を読んだり......と、そこで過ごす時間を楽しんだという。

いまや世界に知られるパリのカフェ文化。現在、そのスタイルは、出入りの自由なオープンテラス式が主流だ。開放感あるカフェで、並木道の緑を眺めながら1杯のコーヒーを味わえば、思いがけない「ひらめき」が生まれるかも。

[写真]

1杯のコーヒーに宿る、トップバリスタの魔法

バリスタ(barista)とは、美味しいコーヒーを淹れる職人のこと。抽出技術のみならず、接客能力の高さも求められるという。「ジャパン バリスタ チャンピオンシップ」は、そんなバリスタ日本一を決める大会だ。

「アニヴェルセル・カフェ」の石谷貴之さんは、バリスタ歴3年ながら、美しくスマートな所作や明るい接客などが高く評価され、同大会'08-'09で第3位となったコーヒー界の新星。その手にかかると、瞬く間にエスプレッソマシーンから蜂蜜のようなつやのあるコーヒーが抽出され、フレッシュな牛乳はスチームで温められて、淡雪のようなフォームができあがる。そうしたプロの技について、石谷さんに伺った。

[写真] アニヴェルセル・カフェのバリスタ、
石谷貴之さん。コーヒー界の新星として、注目を集めている。

「タイミングや温度、分量や力加減など、ほんのわずかな条件の違いで、コーヒーの味は変わります。その美味しさは果てがなく、どこまでもゴールがない世界だと感じています。また、丁寧さとともにリズムやスピード感も大切。コーヒー豆は挽いた直後から香味が失われてゆくので、コーヒーは鮮度が命の飲み物なんです。僕は1日100杯以上のコーヒーを淹れる日も多く、スピードでは負けないつもりです」

たとえばデザイン・カプチーノは、エスプレッソにミルクのフォームをやさしく注ぎ、左右に少しずつ揺らしながらリーフ模様を描いていく。その間、わずか数秒。また、カフェ・オ・レは、60℃弱に温めたミルクをたっぷり使用。コーヒーの香りを引き立てるために、ミルクの温度にもこだわっている。さらにここ、アニヴェルセル・カフェでは、希望によってバニラ、キャラメル、ナッツの3種類のシロップを加えてもらうこともできる。シロップのやわらかな甘味とやさしいフレーバーでいつものカフェ・オ・レが全く違う味に生まれ変わるのだ。スピード、細やかさ、気持ちのよい接客......。それらバリスタの技あってこそ、カフェでの珠玉の1杯が生まれる。

[写真] アニヴェルセル・カフェで石谷さんが操るのは、エスプレッソマシーン「マルゾッコGB5」。瞬間的に光沢のあるエスプレッソのしずくが抽出される。
[写真] 大きなボウルに、たっぷりと注がれたカフェ・オ・レ。
エスプレッソとミルクフォームが混ざり合って渦を巻く様子は、まるでアート。
[写真] カプチーノのミルクフォームにデザインを描く。一瞬の美しい技にバリスタのセンスが光る。
[写真] 石谷さんの創作コーヒー「défi(フランス語で"挑戦")」。グラスの底に沈むのはマンゴーピューレ。その上にエスプレッソ、フローズンヨーグルトなどをシェイクして注いだ。

ゆっくり、じっくり自分の手で豆を挽く、特別なコーヒーの楽しみ

自宅でコーヒーを味わうなら、やはり挽き立ての豆を用意したい。ときには自らの手で手動式ミルをまわして豆を挽きつつ、その甘い香気を楽しむのもいい。まず、どのようなコーヒー豆を選べばいいのだろうか。石谷さんが教えてくれた。

「よいコーヒー豆の見分け方は、全体が均一で美しく、未熟豆や欠けた豆などが少ないことです。こうした欠点豆が入っていると、コーヒーの香味に大きく影響してしまいます。また、コーヒーは農産物ですので、驚くほどさまざまな香りと味わいがあり、ワインと同じように、その年の気候や農園によっても個性が変わります。いつもと違うコーヒーを楽しみたい方は、農園名まで明らかなスペシャルティコーヒー(※)を選んでみてはいかがでしょうか。さらに、焙煎の度合いも重要な決め手。たとえばフレンチローストなど深煎りの豆は、黒っぽく、苦味が強く、カフォ・オ・レに向いています」

そのほか、やや深めの中煎りであるハイローストは、酸味がやわらかく、苦味と甘味のバランスがとれたポピュラーな焙煎だ。もちろん挽き方によっても味わいが左右される。粗めに挽くと苦味は弱く、酸味が強調される傾向。一方、細挽きでは酸味よりも苦味が強調される。カフェ・オ・レやアイスコーヒーなど、コーヒーの苦味を生かしたいときには、深煎りの豆を選び、細挽きにすればよいというわけだ。丁寧に気持ちを込めて挽くほどに、細やかな美味しさが抽出できる、ともいわれる。多くの要素が絡み合って生まれるコーヒーの味わい。バリエーション豊かな個性のなかから、好みの豆を探してみてはどうだろう。

(※)日本スペシャルティコーヒー協会
http://www.scaj.org/

[写真]
[写真] 1840年に誕生したプジョー製のコーヒーミル。このコーヒーミルは現在も復刻販売。プジョーコーヒーミルの詳細はこちら

豆を挽いたら香りを損なわないようできだけすぐに抽出する

豆を挽いたら、香りが損なわれないよう、できるだけすぐに抽出を。

「あまり意識していない人が多いと思いますが、ハンドドリップのこつは、まずドリッパーに入れたコーヒー粉を平らにならすこと。これは均一に熱湯を浸透させ、最高の香味を引き出すためのポイントです。その後、熱湯を粉全体が湿るよう、静かに細く注ぎ、そのまま30~40秒ほど置いて蒸らしてください」と、石谷さん。

そのほか、上質な豆を手に入れたら、欧米で普及している「フレンチプレス」という抽出方法もおすすめだ。これはコーヒー粉を入れたプレス器に熱湯を注ぎ、3~4分待ってから、蓋のつまみを押し下げてプレスするというじつに簡単な方法。ペーパーフィルターを通して雑味を除くドリップと違ってコーヒーの油脂成分などがろ過されずにそのまま抽出されるため、豆の良し悪しがはっきりと表れる。本物のコーヒー好きにこそ、試してほしい淹れ方だ。

自分の手で豆を挽いた淹れたてのコーヒーを味わえば、ささやかな贅沢を感じられることだろう。少し疲れている日は、温めたたっぷりのミルクと砂糖で甘めのカフェ・オ・レを楽しむのもいい。豆の種類や焙煎、挽き方、淹れ方、様々な要素で変化するカップの中の香味にこだわってはいかがだろうか。

[写真]

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さまざまな旋律によって織りなされる音楽のように、人々を惹きつけてやまないコーヒー。ほろ苦さや爽やかな酸味の奥には、オレンジやりんごのようなフルーティな香り、上質なチョコレートを思わせる甘さなど、驚くほど豊かな香りと味わいが秘められている。
ときには自宅で好きな音楽を聴きながら、自分の手で丁寧に淹れたコーヒーを味わい、ときにはカフェでバリスタの味をゆったり楽しむ......。そんな、あなたなりのコーヒーの楽しみを探求してはいかがだろうか。

アニヴェルセル・カフェ

営10:00~23:30(金・土曜、祝前日は~24:00)
花をテーマに、豆と焙煎にこだわった香り豊かなコーヒー&エスプレッソが楽しめるフレンチスタイルのカフェ。コーヒーとの相性抜群のケーキもお薦め。
季節のフルーツを宝石のように散りばめたフルーツロールケーキが一番人気、とか。

東京都港区北青山3-5-30 アニヴェルセル表参道
TEL. 03-5411-5988

[写真]

掲載日:2009/6/10

※本ウェブサイトに掲載されている情報は、掲載時点における情報です。
掲載した時点以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。

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