
年が明け、恒例の家族行事が一段落ついた後、不意にひとりになりたくなった。決してネガティブな意味ではない。ただ何となく、今年を疾走するための活力を充電したくなったのだ。休日の早朝、"書初め"ならぬ"走り初め"がてら、パワースポットを求めクルマを西に走らせた。
旅の相棒は、ビアンカ・ホワイトの308。ピュアな気持ちになれる純白のボディが何より気に入っている。もちろん、200万キロという従来の2倍の走行テストで磨き上げられたロードホールディングやドライビングフィールも抜群。爽快な疾走感と比例するように、心も軽くなっていく。
まずは海へ。本格的にパワーを補う前に、放電して自分をリセットしようと思ったのだ。銚子連絡道路からR126へ向かう。銚子の街並みを抜け、北へとクルマを進めて波崎砂丘へ。ここでは、強い風が吹き続ける気象条件を活かし風力発電が行われている。巨大な風車が旋回する非日常的なそのイメージを偶然雑誌か何かで目にしてから、一度は訪れたいと思っていたのだ。
実際に目にする光景は、明らかにいつも見慣れた風景とは違っていた。眼前にずらりとそびえたつ60mを超える巨大な構造体群は、人間の英知を感じさせると同時に自然の偉大さも誇示しているかのようだ。気が付けば、308と風車、雲が、白く同化していた。日々の澱が取り除かれ、自分の心までもがクリアになった気がした。
リフレッシュした心が濁らないうちにと、再び308へと乗り込んだ。細部のマテリアルまで厳選された上質なインテリアに包まれ、ゆったりとした心地よさに癒される。今の状態なら、さらにパワーを吸収できるかもしれない。R124を北に進み、次の目的地へと向かった。
30分も経たないうちに到着したのは、鹿島神宮。
境内に足を踏み入れると朱色の楼門が現れる。寛永11年(1634年)に完成したこの建造物は重要文化材に指定され、「日本三大楼門」のひとつとも称される由緒あるものだ。周囲の深い緑を背景に、その朱色がさらに鮮やかに映った。
楼門をくぐり、本殿を抜けると、聖域とも言える深い森が姿を現す。広大で幽玄な森林は清々しい空気で溢れていた。大きく深呼吸すると心の隅々まで浄化されていくようだ。樹齢1200年のご神木も含まれているという木々を見上げ、対話しながら、さらに森の奥へと向かった。
突き当たりを右に曲がり、小路を行くと要石(かなめいし)が密やかに鎮座する。頭頂部だけをわずかに露出したこの石は、鹿島神宮の大神が降臨した御座であり、地震を起こす大ナマズの頭を押さえている鎮石であるとも言われている。古い文献には、家来に掘らせてみたがあまりに巨大で「七日七夜掘っても掘りきれず」との記述もある。それほどの大きさを潜ませた霊石は、パワーも強大。鹿島神宮の真のご神体と評する人もいるようだ。
心地よい静けさと凛とした空気の漂う千古の森。もっと長居したいという気持ちを押さえつつ、クルマへと戻った。
改めて308のボディを眺めると、ボンネットのVゾーンに秘めやかにパワーを湛えているようにも見える。純白の車体も周囲の深い緑に映え、神々しいまでに美しい。まるで308が自分の心を映しているようにも思え、少し笑みがこぼれた。
そろそろ帰路に着こうかとステアリング握った瞬間、あるパン屋のことを思い出した。以前、インターネットで美味しいパン屋を検索していた時に目に留まった鹿嶋のショップ。その時はなんとなく読み飛ばしたのだが、それを今思い出したのは偶然ではないはず。近くにいた人に尋ねてみると、ユニデ プー ラ・ファリーヌという人気の店があるという。早速その店へと足を伸ばした。
途中迷いながらも何とか到着。
扉を開けた途端、香ばしいパンの香りが鼻腔をくすぐる。種類豊富なハード系のパンをはじめ、店内所狭しと数多くのパンが並んでいる。自家製のルーを使用した焼きカレーパン、はちみつでソテーしたかぼちゃとプラムがぎっしり入ったタルト...。レモンのコンフィを敷いたチーズケーキまである。見ているだけで幸せな気分だ。たまたまお店にいたオーナーとも話が弾んだ。
「地元密着型のお店なので、お子さんからお年寄りまで楽しんでいただけるように、幅広いパンを揃えているんです」
実はシンプルなパンにこそ、特にこだわりが込められているという。このこだわりを是非家族にもとお土産にバゲットを購入。美味しいと喜ぶ顔を思うと自然と笑みがこぼれてくる。
様々なモノからパワーをもらい、色々な人と喜びを共有する。2010年がそんな一年でありますようにと願いつつ、家路を急いだ。
●波崎 風力発電地帯
鹿島灘の自然資源である浜風を活用し、風力発電でクリーンエネルギーを生み続けている。1998年12月、波崎シーサイドパークに風力発電機が2基設置されたのを皮切りに、2004年5月からは神栖市の矢田部・須田地区で12基の風車が稼動。2005年4月には波崎漁港内にも風力発電機が導入されている。
●鹿島神宮
関東でもっとも古く大きな名社。皇紀元年(紀元前660年)の創建と伝えられている。ご祭神は武の神として古くから皇室や藤原氏の崇敬を受け、武家政権からも厚い信仰を得ていた。本殿、幣殿、拝殿、石の間はいずれも重要文化財。広大な森に加え、要石なども神聖なパワーに満ちていると言われている。
- 住所:茨城県鹿嶋市宮中2306-1
- 問い合わせ先:鹿島神宮社務所
- TEL:0299-82-1209
- URL:http://www.bokuden.or.jp/~kashimaj/

●une idee pour La Farine
何軒かのブーランジェリーで修業を積んだ後に渡仏した福士豪大氏が2006年にオープン。基本形のひとつとも言えるバゲット トラディショナルは、石臼挽きの粉を使用し、天然酵母で約18時間もの長時間発酵を行う伝統的フランスパン。そのこだわりは、バリエーション豊かな品揃えのすべてに注がれている。
- 住所:茨城県鹿嶋市平井1228-50
- TEL:0299-95-7258
- 営業時間:9:00~18:00(土・日・祝8:00~)
※売り切れ次第終了 - 定休日:木曜日、第1・3水曜日
掲載日:2010/1/21
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