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PATRICK

パトリック。その靴作りにかける思い。

「日本の工場で、日本の職人が作ること」。それがシューズブランド「PATRICK」のこだわり。彼らの作り出すシューズに込められた想いとは何か。「ものづくり」のありかたを追求し、ユーザーを大切にする、その姿勢に迫る。

パトリック(PATRICK)は、1892年にフランス・プショージュ村で、靴職人パトリック・ベネトゥによって創業された、伝統あるブランド。創業以来、シューズメーカーとしての歴史を刻み、特にサッカー界において高い評価を受けてきた。日本での生産をスタートさせたのは、1990年。以降、フランスの靴作りを忠実に再現しながらも、日本人の足に合わせた独自のシューズ開発に挑んできた。

「私たちパトリックの最大の特徴は、フランスで培われた伝統の技法を尊重すると同時に、日本の工場で、日本の職人による靴作りにこだわっていることです」

パトリックの商品企画を担当する島田治人さんは、こう話を切り出した。

なぜ “日本の工場で、日本の職人が作ること”が大切なのだろうか?

「それは職人の技術が高いからです。靴作りには、人間の手がかかわる部分が多く残されています。同じパーツを使い、同じ仕様書に従って靴を作っても、ベテランと職歴1~2年の若手では、完成品に大きく差が出ます。またベテラン同士でも、ふだん革靴を作っている職人と、スニーカーをメインにする職人では、その仕上がりの風合いに差が出るほど。靴作りというのは、それほど繊細なものなのです」

「私たちは、自分たちが考えるコンセプトに合った靴を作れるのはどの工場なのか、そのレベルまで製品企画の段階で検討します。つまり、革靴のようなイメージを持ったスニーカーならふだん革靴を手がける職人がいる工場へ、スニーカーっぽい軽快さが欲しいときにはスニーカーを主力にする工場へというわけです。それぞれの工場のベテラン職人が企画の意図を理解し、その靴のテイストにあわせた製品を仕上げてくれるよう、工場へは仕様書で依頼をかけ、気に入るまで何度もサンプルの修正を行います。しっかりとした技術を持ち、緊密に意思疎通のできる国内の工場でなければ、こうした靴作りは実現できません」

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さらに、日本人の足形に合った木型をもとに、日本人の足にフィットするスニーカーを作ることで、パトリックは独自の素晴らしい履き心地を実現してきた。

「靴作りのベースは、人間の足の形を再現した“ラスト”と呼ばれる木型です。ラストづくりは、専門の職人と何度もやりとりを繰り返して仕上げていくという、労力とコストがかかるもの。グローバルメーカーは、コスト削減という命題のため、ひとつのラストでアジア人、ヨーロッパ人を含めた世界中の人々に対応させるのが一般的ですが、同じアジア人でも、たとえば日本人とタイ人では足の形が違います。それがヨーロッパ人まで含めるとなると、どこかに無理が生じてしまうというのが、私たちの考えです。ですから、私たちは、日本人に最適なシューズを生産するために、日本人の足に合ったラストを製作しています。」

そして、もうひとつのパトリックのアイデンティティは色と素材だ。

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「そもそも、運動靴であるスニーカーは機能第一でした。そこに鮮やかなカラーリングを持ち込んだのが、私たちパトリックです。そのファッション性が評価され、ブランド力を高めることになったストーリーは、いまでも私たちの商品企画の中に息づいています。シーズンごとの企画会議では、テーマと色を重視。素材は、そのテーマに合わせて選んでいきます。デザインは、まったくの新作のほか、過去のシリーズからシーズンごとのテーマにあわせて素材やカラーリングを変え、新たなイメージを持たせたモデルも発表しています。フランス時代から長い歴史を持つパトリックの製品は、デザインも製法も、その基本がしっかりしたもの。だから、時を経ても古くはならないんです」

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素材については、そこから連想されるイメージを重視する。軽快さが欲しいときは、軽さと強度をもつカンガルー革を。しなやかさを表現したいときは、柔らかな風合いの子牛の革を。しっとりとした雰囲気を演出したいときは、シボ加工を施した成牛の革をといった具合に。企画会議では、皮革専門業者も交え、何百という革のサンプルを吟味するという。

「靴の素材は、そのままその靴に込められた世界観を表すと思っていますから、素材選びには妥協しません。ちなみに、スニーカーの世界に革を本格的に持ち込んだのも、私たちパトリックがはじめてなんです。“革のスニーカー”という新たな概念は、価格ひとつをとっても従来のスニーカーの常識とは大きく離れていましたし、反発を含め、当初さまざまな反応がありました。しかし最終的にはお客さまが支持してくれたこと、それが今につながっていると思います」

企画会議から実際の製造に至るまで、自らの世界観と理想を追い求める、きめ細やかで、情熱を込めた靴作り。「何よりもお客様のために」それがパトリックの精神でもある。

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「私たちには、パトリックを愛してくださるお客さまがいる、そのお客さまのために靴作りをするというモチベーションがあります。自分たちの手で製品を企画して、熟練した技術を持つ職人に生産を依頼し、パトリックを応援してくださる小売店さんを通じてお客さまにお届けする。こうした小さいながらも強固なネットワークにより、お客さまのニーズをくみ上げ、それに応えることができるとも自負しています」

島田さんは、そのことが端的に分かるエピソードを紹介してくれた。

「パトリックのシューズをお買い上げになったお客さまから、何度も履いていたらトゥの部分のソールがはがれてきたという苦情が寄せられたことがあります。多くのシューズブランドは、こうしたケースでは商品の交換や返品という対応になると思いますが、私たちはそのスニーカーをお送りいただき、修理しました。革製品は、長く使えば使うほど味が出てくる商品ですし、その製品を気に入って選んでいただいたお客さまには、その味も含めて出来るだけ長くご愛用いただきたいからです。もちろんお客さまからいただいたご指摘は、職人たちと検証し、次回作以降の製品開発につなげるようにしています」

パトリックの商品は少量生産。そのため、在庫の問い合わせも多いという。そういった場合も丁寧に対応をしているそうだ。

「新作の発表会で披露したコレクションは、小売店さんからの注文を集めて生産量を決めるのですが、中にはわずか20足、30足ほどしか生産されないモデルもあります。実は、こうした生産量の少ないモデルに限って雑誌などに掲載され、お客さまからお問い合わせをいただくことがあるんです。例えば、つい先日お問い合わせいただいたモデルは生産量が全サイズあわせて23足、お客さまがご希望されるサイズはわずか5足でした。このときは、このモデルを注文いただいた小売店に問い合わせて在庫を確認し、お客さまにご紹介しました。といっても、お客さまは東京の方で、在庫があると答えてくれた小売店は、群馬だったのですが…」

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これらのエピソードからは、パトリックで働くスタッフの心に共通するポリシー、つまり“お客さまのことを常に考え、最大限の対応をさせていただく”という熱い思いが伝わってくる。“お客さま第一”を考えて仕事をしないスタッフには、パトリックブランドを統率するトップ自らが注意を与えることもあるというのだ。

このように、島田さんによるパトリックのスニーカーにまつわるストーリーには“ものづくり”にこだわる一貫した姿勢が感じられる。パトリック製品の価格帯は、スニーカーとしては決して安価とは言えない。しかし、その製品ひとつひとつに込められた世界観と職人の技は、自分たちが身につけるものにこだわる人々に高く評価されている。

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「私たちはマスプロダクションメーカーではないし、マスプロダクションメーカーになろうとは思っていません。お客さまに満足いただける靴を作り続け、お客さまに評価していただける、そうしたメーカーであることに誇りを持っています。これからも、パトリックらしい製品づくりを進めていきたいですね」

プジョーらしさを追求して ~ プジョーオリジナルモデル開発秘話 ~

プジョーとパトリックによるいくたびものミーティングの結果、コラボレーションモデルとして採用されたのはフルレザータイプの「LAVIA(ラビア)」と「PAMIR(パミール)」。

「LAVIAのベースは、陸上の短距離モデルのJET(ジェット)。もともと短距離用に開発されたモデルということもあって、ソールが薄く、足に込めた意志がダイレクトにペダルに伝わるため、ドライビングに適しています。一方、PAMIRはソールが巻き上がった形状がドライビングシューズに向いているのはもちろん、スタイリッシュな細身のフォルムで、どんなスタイルにもあわせやすいということで選びました」(プジョーWebチーム 浅田)

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そして、プジョーらしさをどのように表現するか、デザインと素材の選択が始まった。
様々なデザインが飛び交い、検討に検討を重ねた結果、2ヶ月を経てようやく完成。最終的にLAVIAはプジョーのボディカラーのひとつである「モンテベロ・ブルー」をイメージした青、PAMIRは308CCで登場した新色「パールホワイト」をイメージした白を基調としたデザインとなった。さらに、パトリックのアイデンティティである“2本線”は、プジョーらしいエッジを立てるべく意識し、ゴールドとシルバーを採用。素材は、LAVIAには滑らかなステアレザー、PAMIRには華やかなパールカンガルーレザーを使用することとなった。

「PAMIRはトリコロールをイメージし、おなじみの赤・白・青をプジョー流にアレンジしました。やっぱり、プジョーといえば、“フランス”なので。さらに、LAVIAはスポーティーなモデルなので、プジョーらしくブルーに。ただしシューズに使う場合、いわゆるプジョー・ブルーより濃紺のほうがいろいろなスタイルに合わせやすいと考えて、最終的にボディカラーにもあるモンテベロ・ブルーをイメージしたブルーに決めました。」(浅田)

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[写真] ※右下:ブルーの実際の商品(ブルーダジュール)のプジョーロゴ(織ネーム)は黒地にシルバーの刺繍になります。

パトリックのすべてがここに「PATRICK LABO GINZA」

パトリックの直営ショップとして、2008年2月にオープンした「PATRICK LABO GINZA」。住所は東京・銀座ながら、中心街からはやや東に位置、商業地の喧噪とはへだてを置く。
店名は「PATRICK SHOP」ではなく、「PATRICK LABO」。その理由は、お店のコンセプトにあると語るのは広報の大野貴幸さん。

「ここは単なるショップではなく、ラボラトリーなんです。お客さんが自由にいらっしゃって、パトリックについてスタッフと語り合ってほしい。また私たちも、お客さんのお話をうかがい、お客さんがどんなパトリック像を持っているのか、どんなパトリックを求めているのかを知りたい。そんな思いで名付けました。ロケーションをここに選んだのも、そうしたお客さんとゆっくり語らう時間が欲しかったから。同じ銀座でも中心部、また青山や渋谷などの繁華街では、いらっしゃるお客さんの応対をするだけで手一杯になってしまいますから」

「PATRICK LABO GINZA」では、オリジナルのアパレルも取り扱い中。唯一の直営店のため、他の販売店よりも在庫が充実しているのも魅力。ぜひ一度足を運んでほしい。

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パトリックのスニーカーができるまで

すべての靴は専門用語で“ラスト”と呼ぶ、足の形をした木型から生まれる。つまり、靴の形そのものとなる人間の足形を、ラスト作りの職人が木を削って作るのだ。靴が細身になるかゆとりをもった形になるか、またつま先がピッタリ入るようにするか余裕をもたせるかといった靴のフォルムは、このラストの形で決まる。ラストの試作品ができあがると、デザイナーや企画スタッフがイメージ通りのフォルムになっているかどうかをチェック。改良すべき点があれば、もういちど職人の手に戻り、削ったり、盛りあげたりという作業が行われる。このラストが完成すると、ようやく靴そのものの製作が始まる。

しかし靴の製作も、このまますぐに進められるわけではない。製作の段階においても、何度かにわたる試作が繰り返される。

スニーカーは、足を包む“アッパー”と、靴底にあたる“ソール”によって構成されている。このうちアッパーの部分はデザインをもとに切り出された布や革といった素材を縫い合わせ、最終段階でラストを包むように立体化される。この作業は、熱を加えて伸ばしたり、固めたりといった、地味ながら根気のいるもの。アッパーが仕上がったら、ソールを接着し、人が靴を脱ぐようにラストを取り外せば完成だ。こうしてできあがったファーストサンプルと呼ばれる試作品は、企画チームとデザイナーがデザインやフォルムをくまなくチェックし、修正点をピックアップ。試作品をブラッシュアップさせていき、最終サンプルがやっと完成する。完成後は本生産の体制に入る準備になります。

工場ではオリジナルの木型(ラスト)を元に様々なサイズに展開された樹脂製のラストが用意され、最終サンプルと仕様書に従い、さまざまなサイズの靴が量産される。といっても、機械が自動的にスニーカーを製造するわけではなく、仕上げに大きく影響するアッパーでラストを包む工程は試作と同様に手作業で行われる。このようにして“日本生産”にこだわった、素晴らしい履き心地のパトリックの靴が出来上がっていく。

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掲載日:2009/8/4

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